メカジキ、マカジキ、クロカジキ、バショウカジキ…。
「かじき」についての疑問質問にお答えします!
「カジキマグロ」は俗称。
カジキはマカジキ科とメカジキ科に属し、サバ科のマグロとは別の種類の魚です。
カジキが高速回遊性の大型魚でありかつ生息域が広く、肉質が良いなど多くの点でマグロと似ていること、また、そのカジキがまぐろを獲る延縄漁業で漁獲されるために、「かじきまぐろ」と呼ばれることもある、と言われています。
かじきは海中で泳ぐスピードが最も速い魚と言われています。
中でもバショウカジキの突進速度(餌を捕食する、あるいは捕食から逃れるときの速度)は時速109 kmにもなり、これは25mプールを1秒かからずに泳ぎ抜ける速さです。
水中で最も速く泳ぐことのできる動物としてギネスブックにも掲載されています。
かじきは、スズキ目マカジキ科とスズキ目メカジキ科の2つに大きく分けられます。
スズキ目メカジキ科では、メカジキ。
スズキ目マカジキ科では、マカジキ、クロカジキ、バショウカジキ、シロカジキ、フウライカジキ等11種類が知られています。
日本での食用としては、特にメカジキがよく好まれています。
「かじき」は、スズキ目メカジキ科のメカジキや、スズキ目マカジキ科のマカジキ、クロカジキ等の魚を総称する言葉です。従って、「かじき」と「めかじき」は同じ魚とも言えますが、単に「かじき」と言ったときには、必ずしも「めかじき」のみを指しているわけではない場合もあるでしょう。
「かじき」という大きな枠の中に、「めかじき」という種類の魚がいる、とイメージすると分かりやすいのではないでしょうか。
メカジキにはこってりした脂と旨味、甘みがあり、照り焼きやソテー、フライ、煮付け、唐揚げ、炒め物、ムニエルなど、様々な調理法が合いますが、中でも油を使った調理がよく合います。
ヨーロッパやアメリカでは昔から、最近では日本でも、メカジキをステーキにして食べたりもしています。
かじきの大きな特徴である、口元から長く剣のように伸びている部分は上顎で、「吻(ふん)」と言います。
これは、かじきの武器。
エサを捕らえるときに左右に振り回し、気絶させたり致命傷を負わせたりします。
特にメカジキの吻はとても長くて鋭く、メカジキのことを英語では「Swordfish」と言います(「Sword」は「剣」という意味)。
かじきの仲間は全体的に獰猛な暴れん坊ですが、中でもメカジキは最強の猛者。
延縄などにかかった際に最も手がかかる危険な魚で、クジラや船に突進してくるメカジキも珍しくありません。
また、かじきの大きな特徴である長い剣のような上顎「吻(ふん)」を、 エサを捕らえるときに左右に振り回し、気絶させたり致命傷を負わせたりします。
多くのかじきは、延縄(はえなわ)漁業で漁獲されます。
「延縄」は、漁業に使われる漁具の一種。1本の幹縄に多数の枝縄(=延縄)をつけ、その枝縄の先端に釣り針をつけています。この延縄を用いた漁を「延縄漁」と呼びます。
延縄漁は古くから用いられた漁法で、延縄を漁場に仕掛けた後、しばらく放置した後に延縄を回収して収獲を得ます。網を使った漁法に比べて、時間が掛かり漁師の作業量が多く効率の点では劣りますが、比較的狙った魚だけを獲得できるので、漁業資源に対しては無駄を出さないという利点があります。
「かじき類」は、もともとは宮城県気仙沼での水揚げ量が多かったので、物流機能上、関東が主なマーケットになったのではないかと考えられます。
また、西日本では、太平洋(黒潮)・日本海(対馬海流)・瀬戸内海などの海域に恵まれていて、四季折々に様々な種類の魚が手に入るため、わざわざ遠くからかじきを運ぶことがなかったのかもしれません。
かじきの種類によって、回遊水深は異なります。
最も深くて、クロカジキは水深200mくらい、マカジキは水深300mくらいまでのところを回遊します。
メカジキは、昼間は100~600mと大変深く潜っていて、夜になると海面近くに浮上することが多くあります。
かじきは回遊魚なのでかなり広い範囲で漁獲されますが、特にメカジキは全世界の熱帯・温帯から寒帯に至るまで広く分布していて、かなり沿岸にまで回遊します。
地中海・黒海・紅海などの、いわゆる付属海へも入り込むと言われており、意外と色々なところで遇える可能性は高いのかもしれません。
当社は、主にインド洋海域のかじき類を買い付けています。
松方弘樹さんがテレビで激闘の末に釣り上げるあのかじきは、「クロカジキ」の可能性が高いです。
釣った数量などのデータは確認できていないのですが、全体の水揚げ量や泳いでる深さなどを考慮すると、クロカジキではないかと考えられます。
かじきが飛び跳ねている映像がよくありますが、それらに映っているのは「クロカジキ」「バショウカジキ」「マカジキ」である場合が多いです。
かじき類の中では、クロカジキ属が最も大型です。
その中でもクロカジキが最大で、全長約5m程度のものが稀に延縄で漁獲されることがあります。
重さでは、延縄で約900kg、スポーツ・フィッシングで817.7kgという大物が獲れたということが知られています。
魚の中で最大の背びれを持つのは、バショウカジキ属のカジキです。
体長に対する相対的な大きさとしても、バショウカジキの背びれはダントツの大きさ。
それに対して、メカジキの背びれは成長と共に小さくなっていき、カジキ類では最小の背びれとなります。
メカジキの卵は、海の魚成熟卵の卵径が約1.6mmと海産魚の中では大きな卵です。
マカジキ科の卵は、全て卵の直径は1mmを少し超える程度で、ふ化直後の仔魚(稚魚の前段階)も体長3mm前後ととても小さく、何カジキかというだけでなく、他の魚と見分けることもとても難しいです。
日本の近海でもかじきはわりとあちこちに出没していて、定置網にかかることがあります。
沖縄の近海は黒潮が流れており、かじき釣りのポイントとして知られています。特に与那国ではかじきの水揚げ量が多く、カジキを使った伝統料理が多数あります。
東北の気仙沼も、水揚げ量が多いことで有名です。
例えばめかじきの場合、3日程度で仔魚にふ化し、ふ化直後は4mm程度、でふ化後5日で5mm程度、1~2ヶ月後には17cm程度にまで生長すると言われています。
目次へ戻るメカジキは、小笠原諸島で最も重要な水産資源の一つです。
小笠原諸島周辺では、メカジキの漁獲量が春季~夏期にかけて増加します。
漁獲位置は特に父島の西沖に集中する傾向があり、その海域から稚魚が採集されることから、メカジキは小笠原周辺に産卵をするために回遊して来ると推測されています。
小笠原近海でPAT-tag(電子標識)を付け放流したメカジキの行動データの解析により、海底の出っ張った部分(海山や海丘)をたどりながら移動したことが分かっています。 海山や海丘では、湧昇流によって餌となる生物が発生しやすい条件が整いやすく、そのような場所を探して泳ぎ回っていると考えられています。
目次へ戻るめかじきの1日の平均移動距離は8~36km程度で、全個体の平均では1日21kmだったというデータがあります。 メカジキはとても速く泳ぐことができますが、普段は餌を探しながら、あちこちをうろうろと泳ぎ回っているのかもしれません。
目次へ戻る眼の後方、脳の近辺にある熱生産筋肉に変化した組織のことを「ブレインヒーター」と言います。脂肪に包まれていて、血液はこのヒーター組織を経由して脳と眼に送り込まれ、水温が冷たい深海でも眼と脳は働くようになっています。
目次へ戻る昼間、水深600m前後のあたりまで深く潜るめかじき。海域にもよりますが、小笠原のあたりでも水温は通年9~11度程度と、冬の気温のような温度です。メカジキは脂質を多く身体に蓄え、この環境に対応できるようにしています。
目次へ戻るメカジキやマカジキの吻は、特異な方法で修復し、硬く丈夫な状態を維持しているという研究論文が発表されました。
ほ乳類が骨を修復する際には通常、損傷した骨を破壊・吸収する「破骨細胞」と、新しい骨を形作る「骨芽細胞」の2種類が必要です。メカジキやマカジキは、これらの細胞を持たないにもかかわらず、吻を修復して硬く丈夫な状態を保っているというのです。
そのプロセスはまだ未解明ですが、今後の研究が期待されます。
→かじきの吻の修復について、もっと詳しく
ほ乳類の骨には、長期間使ってダメージの蓄積した箇所を探し出して修復する能力があります。骨を長い間健康に保つために必要なことと考えられており、骨を破壊・吸収する「破骨細胞」と、新しい骨を形作る「骨芽細胞」の2種類が役割を果たしています。しかし、現代生息している魚類のほとんどは、破骨細胞も骨芽細胞も持っていません。多くの魚がそれなりの期間長く生きて、活発に動き回り、時間の経過とともに相当な疲労によるダメージを負うにもかかわらず、彼らの骨は常に修復されているわけではないと考えられるのです。
しかし『米国科学アカデミー紀要』2014年11月号に発表された論文によると、メカジキやマカジキのような吻を持つ魚においては、吻の骨の中で、破骨細胞等無しで非常に活発に修復が行われていることが分かったそうです。破骨細胞や骨芽細胞は存在しないにも関わらず、細胞の組織は大型のほ乳類の成熟した骨と驚くほど似ており、他の魚の骨と違ってほ乳類(例えば馬など)の骨と同程度に硬く、折れるまでには相当な負荷にも耐えることができるとのこと。
この研究によって、魚の骨は従来考えられてきたよりもはるかに複雑な構造と機能を持っているということと、骨の修復には不可欠と考えられていた破骨細胞と骨芽細胞がなくても、局部的に修復する機能を有することが明らかになりました。今後は、そのプロセス等が明らかにされる研究が期待されます。
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